2021年2月15日月曜日

即時取得①


認定考査の勉強ですが、やっとヒルマチ本の実践編に突入しました。


本試験でも最頻出の「即時取得」(民192条)。認定考査では原告の「所有権に基づく返還請求権としての動産引渡請求権」に対する被告の所有権喪失の抗弁として表れますので復習します。


即時取得の意義

即時取得とは、動産の前主の占有に公信力(権利の存在を推測できるような外形がある場合には、真実の権利が存在しない時にも、その外形を信頼して取引をした者に対し、真実の権利が存在したのと同様の効果を認める効力)を与え、前主を真の所有者と誤信した者の信頼を保護しようとする制度のこと。


即時取得の趣旨

動産の占有に公信力を認め、静的安全(真実の所有者の利益)の犠牲において動的安全(取引の安全)を保障しようとする要請から即時取得の制度がある。


即時取得の成立要件

動産であること

・未登録自動車や登録を抹消された自動車については即時取得が認められる。(S62.4.24)

・工場財団目録に記載された動産であっても、それが分離された場合は、通常の動産と何ら変わらないため、即時取得が認められる。(最判S36.9.15)

※登記や登録が対抗要件である重要動産(船舶・航空機・自動車など)、立木法により登記された伐採前の樹木は対象外。

*もっとも、仮装の登録名義人から登録自動車を取得した第三者は通謀虚偽表示(94Ⅱ)における善意の第三者の保護を受ける余地はある。

※記念硬貨のような特定された金銭の場合を除けば、金銭は即時取得の対象外。(最判S39.1.24。動産扱いされない)


有効な取引行為によって占有を取得すること

・競売(強制競売を含む)による動産の取得の場合にも即時取得の適用がある。(最判S42.5.30)

・代物弁済の給付、消費貸借の成立のための給付も取引行為に含まれる。(大判S5.5.10、大判S9.4.6)

※樹木を含めた土地を買い取った後に伐採した当該樹木は即時取得の対象外。(樹木について取引行為がない)

・Aが他人の山林の樹木を伐採後にBがその樹木を買い取った場合は、当該樹木は即時取得の対象となる。(樹木について取引行為がある)

※他人の山林を自分の山林と誤信して伐採した場合は、取引行為が存在しないので、即時取得は不成立。

※被相続人の占有を相続により承継した場合も即時取得は不成立。(大判M35.10.14)


無権利者又は無権限者からの取得であること

・前主が単に賃借人の場合や受寄者、質権者、前主が動産を取得した行為が取消(制限行為能力、詐欺・強迫)や解除(債務不履行など)によって無権利者となる場合が典型例。

・本人が無権利者であっても、その本人から有効な代理権を得た代理人からの取得には即時取得が成立する。

※無権代理人と制限行為能力者からの取得はそれぞれの制度により保護されるべき(催告権など)。


取得者が占有を取得すること(現実の引渡し、簡易の引渡し、指図による占有移転による)

※占有改定による引渡しでは即時取得は不成立。(最判S35.2.11)


平穏・公然・善意・無過失に占有を取得すること

・平穏・公然・善意・無過失の要件は、占有取得時(現実の引渡し時)に具備していれば足りる。(最判S26.11.27)

・平穏・公然・善意は条文(民186)から、無過失は判例(最判S41.6.9)によって推定される。

・このため、動産取得者に権利推定が働くので(民188)、即時取得の成立を主張する者は自己の平穏、公然、善意無過失を証明する必要はない。

・未成年者である原所有者から動産を取得したが、制限行為能力によりその動産取得を取消され無権利者となった者が、いまだその動産の占有を有する場合に、善意・無過失の第三者にその動産を引き渡した時は、その第三者は当該動産を即時取得する可能性がある。また、取消後の第三者として178条の対抗問題で解決する見解もある。(判例はこの点明確にしていない)

*詐欺、強迫による取消や契約解除により無権利者となった後に、その者から動産を取得した第三者と原所有者とは対抗関係に立ち、この場合、第三者には善意・無過失は要求されない。無権利者となった者から先に引渡しを受けたほうが勝つ。(こちらは178条で処理)


即時取得の効果

・所有権、質権または譲渡担保権の取得

※動産質権者が質物を自己のものとして第三者に売却し、引き渡した場合、当該第三者が悪意の時は、当該第三者は所有権も取得しないし、質権設定契約もないので質権も取得しない。

・原始取得

・当該動産上の制限物権(質権など)は消滅する。

0 件のコメント:

コメントを投稿