2021年2月16日火曜日

即時取得②


前回に引き続き即時取得の復習です。即時取得の効果として動産占有者に原始取得が認められますが、その効果を否定する「即時取得の例外」を復習します。


占有物が盗品又は遺失物の場合の特則(民193条)

即時取得の成立要件を満たしている場合においても、占有物が盗品又は遺失物である時は、被害者又は遺失者は、盗難・遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求できる。


193条により回復請求するための要件

①192条(即時取得)の要件を満たすこと

②目的物が盗品または遺失物であること

・「盗品」とは、窃盗または強盗の場合のように原権利者の意思に反して占有を剥奪された物をいう。

※原権利者の任意の意思に基づいて占有が移転する横領物、恐喝物、詐欺物は非該当。

・「遺失物」とは、窃盗・強盗以外の方法で原権利者の意思に基づくことなくその占有を離れた物をいう。

*遺失物については、遺失物法の定めるところに従い、公告後3か月内にその所有者が判明しない時は、これを拾得した者がその所有権を取得する。(民240)

・したがって、遺失物について193条と194条が適用されるのは、拾得者がこの法定手続をとらずに、自ら拾得物を着服して(自分の懐に入れて)これを他に処分した場合である。

③被害者または遺失者が盗難または遺失時から2年以内に回復請求すること

・2年間の起算点は、盗難・遺失の時(大判T15.3.5)

・この2年間は除斥期間(通説)

・この2年間は原所有者(被害者又は遺失者)に所有権が帰属するとされる。(大判S4.12.11)

・原所有者の所有権に基づく物権的返還請求権の行使期間を2年間に制限したという趣旨。(大判T10.7.8)

・賃貸または寄託された物が盗まれたり遺失したりした場合、賃借人や受寄者も回復請求可。(大判S4.12.11)

※質権者は、その占有する質物を侵奪されあるいは遺失しても、善意取得者に対し本条の回復請求権を行使不可。(通説。民200Ⅱ)

・回復請求の相手方は、盗難・遺失の時から2年の間に盗品等を取得して現に占有している者であり、盗品等を直接に善意取得した者に限らず、善意取得者からの特定承継人も含まれる。(大判T15.5.28)

※回復請求権が行使される前に占有者の責めによらずに物が滅失していたならば、回復請求権が消滅するばかりか、被害者または遺失者(本権者)は回復請求に代わる損害賠償請求をすることも不可。(最判S26.11.27。民191条参照)


盗品又は遺失物が競売または公の市場等で売買された場合の回復(民194条)

占有者が盗品又は遺失物を競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から善意で買い受けた時は、被害者又は遺失者は占有者が支払った代価を弁償することによりその物を回復できる。


194条により回復するための要件

①193条(盗品又は遺失物の特則)の要件を満たすこと

②競売もしくは公の市場において、または、その物と同種の物を販売する商人から善意で買い受けた者に対して回復請求する場合であること

・競売には強制競売、任意競売のいずれも含まれる。

・公の市場は広く店舗を意味する。

・その物と同種の物を販売する商人とは、行商人などを指し、画商もこれにあたる。

*古物商や質屋については特則がある。

・194条の「善意」は192条と同様「善意無過失」を意味する。

③被害者又は遺失者は、占有者(買受人)が支払った代価を弁償すること

・占有者が盗品、遺失物を被害者または遺失者に引き渡してしまった後においても、占有者は、被害者または遺失者に対して代価の弁償を請求することができる場合がある。(最判H12.6.27)

・盗品被害者又は遺失者が盗品又は遺失物の占有者に対してその回復を求めたのに対し、占有者が194条に基づき支払った代価の弁償があるまで盗品または遺失物の引渡しを拒むことができる場合には、占有者はその弁償の提供があるまで盗品または遺失物の使用収益権を有する。(最判H12.6.27)

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