2021年2月18日木曜日

表見代理


表見代理は、本試験ではあまり出題されない分野ですが、認定考査では表見代理の知識は必須なようです。


原告の被告に対する「売買契約に基づく代金支払請求権」を訴訟物とした場合に、当該売買契約が被告の代理人によってなされた時に、代理権の授与を否認する被告に対し、原告がこの「表見代理」を主張して、これが認められれば売買契約の効力を被告に帰属させる効果があります。


表見代理には①代理権授与の表示による表見代理(109条)、②権限外の行為の表見代理(110条)、③代理権消滅後の表見代理(112条)の3類型があります。


◆代理権授与の表示による表見代理の意義、成立要件(109条)

・代理権授与の表示による表見代理とは、本人が相手方に対して、他人に代理権を与えた旨の表示はしたが、実際には代理権を与えていなかった場合の表見代理のこと。

代理権授与の表示による表見代理の成立要件・・・

①本人が相手方に対してある人に代理権を与えた旨の表示をしたこと

②代理権授与の表示がされた代理権の範囲内で代理行為がされたこと

③相手方が善意&無過失であること

・代理権の授与表示をした本人が相手方の悪意または有過失を立証せよ!(最判S41.4.22)


◆権限外の行為の表見代理の意義、成立要件(110条)

・権限外の行為の表見代理とは、何らかの代理権を有しているが、その代理権の範囲を超えて代理行為がされた場合の表見代理のこと。

権限外の行為の表見代理の成立要件・・・

①現実にされた行為の代理権はないが、何らかの代理権(基本代理権)はあること

・この基本代理権は私法上の行為(法律行為)についての代理権であることを要し、原則として公法上の行為や事実行為についての代理権は基本代理権となりえない。(最判S39.4.2、最判S35.2.19)

②基本代理権の範囲を超えて代理行為をしたこと

③代理権の存在につき相手方が誤信し、かつ、そのように誤信することに「正当な理由」があること(善意&無過失であること)

※本人の過失の有無は問題とならない。(最判S34.2.5)

・本人から一定の代理権を授与された者が本人自身であると称して権限外の法律行為をした場合にも権限外の行為の表見代理が類推適用されうる。(最判S44.12.19)


◆110条の「正当な理由」についての判例

・妻が夫の代理人として第三者とした法律行為は、妻が夫から特に代理権を与えられておらず、かつその法律行為が日常の家事に関するものでない場合であっても、第三者においてその行為がその夫婦の日常の家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき「正当な理由」がある時は、夫(本人)に対して効力を生ずる。(最判S44.12.18)

・代表理事が代理権を行使するには理事会の決議を要する旨の定款の定めがあるにもかかわらず、代表理事が理事会の決議なしに取引をした場合に、相手方が、代表理事が理事会の決議を経て代理しているものと過失なく誤信し、そのことに「正当な理由」がある場合は、当該定款の定めを相手方が知っていても、表見代理が成立する。(最判S60.11.29。理事会議事録は公示されないため、こうしたケースが起こりうる)


◆代理権消滅後の表見代理の意義、成立要件(112条)

・代理権消滅後の表見代理とは、かつて代理権を有していた者が一定の事由によって代理権が消滅したにもかかわらず代理行為をした場合の表見代理のこと。

代理権消滅後の表見代理の成立要件・・・

①かつて存在していた代理権が代理行為当時には消滅していたにもかかわらず、代理権が存続するかのような外観があること

②かつての代理権の範囲内で代理行為を行ったこと

③代理権が消滅したことにつき相手方が善意&無過失であること

④代理権消滅前に代理人との取引実績を要しない。(最判S44.7.25)


◆表見代理の成立の効果

・表見代理が成立すると、その効力は本人に帰属する。(*有権代理と同じ)

・表見代理の成立を争う前に、無権代理行為を本人が追認し、法的効果を早く確定させることも可。

・表見代理が成立する場合に本人が追認拒絶をしても表見代理の成立を妨げるものではない。

0 件のコメント:

コメントを投稿